詭弁(きべん)とは? 議論や会議で使われる詭弁への対処法5選

ビジネスで使用されることも多い「詭弁」とは

「詭弁」とは、間違った内容・意見を正しく見せかけたり、自分の意見に言いくるめようとしたりする話し方のことを指します。詭弁は古代ギリシャからあった話し方のテクニックであり、ビジネスの場においても詭弁によって気づかないうちに“論点のすりかえ”や命題から逸れた議論が展開されてしまうケースも少なくありません。

 

そこで今回は、詭弁とは何かをご説明するとともに、議論や会議で使われる「詭弁」への対処法を5つご紹介します。

 

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詭弁とは?どのように使われるのか

詭弁は議論の場や会議など、それぞれの意見を出し合う場で用いられることが多い話法です。

 

健全な議論の場合は命題に沿って意見を出し合い、意見に反対するのであれば根拠を持って正当な反論をする必要があります。しかし時には「相手を言い負かして自分の意見を認めさせたい」「この人の意見には何が何でも反対したい」などの意思を持って詭弁が使われることがあるのです。

 

たとえば誰かが会議の場で「自社の売り上げが低下しているのは、新規顧客の開拓がうまくいかないためではないでしょうか」という意見を出したとします。このときの議題は「自社の売り上げが低下しているのは新規顧客の開拓がうまくいっていないか、そうではないか」ということになるはずです。しかしここで参加者の一人に「新規顧客の減少が原因だと思っているのは君だけだ」といわれたらどうなるでしょうか。おそらく、ここでの論点は「新規顧客の減少か否か」ではなく「発言者が正しいか正しくないか」ということにすり替わってしまうでしょう。

 

このように詭弁は、正しい意見を述べたいというより「発言者を言い負かすこと」を目的に使用されることが多いのです。また、複数の原因が絡み合う事象にもかかわらず「原因は1つしかない」と限定したり、自分の主張を隠しながら反対の意見を問いかけたりするのも詭弁にあたります。

 

詭弁は一見すると「正しい意見を述べようとしているのでは?」と思われがちであり、聞き手側が扇動されて流されたり、不当な責任転嫁をされたりすることも少なくありません。そのため健全かつ建設的な議論をするには、よく用いられる詭弁について知っておくとともに、詭弁への対処法を知っておくことが重要です。

 

注意すべき詭弁の種類

 

詭弁にはさまざまな種類があり、会議など議論の場でも知らないうちに使用されていることがあります。ここでは、よく使われる詭弁のテクニックについてご紹介します。

多数派・少数派の強調

詭弁を使う人の中には「多数派または少数派だから正しいのだ」と主張する人が少なくありません。たとえば「他の社員も同じ意見なのに、違う意見を唱えるのは君だけだ」または「私の意見は世間が受け入れないからこそ本質を捉えた正しい意見だ」というように、“意見を支持する人数”によって正しさを決定するのです。

 

しかし、意見が正しいか、正しくないかは『理由』によって判断するのが適切です。数そのものが大事な場合(多数派に合わせた商品を多めに用意したほうがいい、など)を除き、数で正しさを唱えるのは明らかな詭弁だといえます。

「反語」を使った対話

反語とは、自分が主張したいことと反対の意見を問いかけるというものです。たとえば議論の場で「あなたは業績アップのためなら他人に迷惑をかけてもいいのですか?」と問われた場合、疑問形の体裁を保ってはいますが、実際には『業績アップのために他人に迷惑をかけてはいけない』という主張をしているのと同じことなのです。

 

反語を使った詭弁ではあくまで“疑問形”での問いかけなので、自分の意見の証明や説明の責任逃れが可能です。また、自分の主張を“暗示”することで「自分の意見こそが正しい」という主張をさりげなく押しつけたり、相手に「なぜそう思うのですか」と質問することを封じ込めたりする効果があります。

詭弁を主張する

誰かの主張・意見に対し、間違っている点を指摘するというのは普通のことでしょう。しかし、何が間違っているのかを捉え切らないまま「その意見は詭弁だ」とだけ主張する人が時折みられます。

しかしそれは、裏を返せば「私は相手の間違いを見つけられませんでしたが、何らかの反論をしたい」と主張しているのと同じことなのです。相手の間違っている点を言語化し、指摘をするのであれば詭弁ではありませんが、“詭弁であることだけをただ主張する”行為は、そのものが「詭弁」です。

“第3の原因・要素”を無視する

企業活動の事象や結果には、何らかの原因や要素が絡んでいます。しかし詭弁を使う人の中には、こうした事象に絡んだ複数の原因や要素をあえて無視し、さも結果の1つだけが原因であるように主張するケースがよくみられます。

 

たとえば誰かが「売り上げが減少したのはクレームが増えたせいだ」という意見を出したとしましょう。一見それらしい意見に聞こえますが、そもそも売り上げが減った原因には「企業の対応やサービス、商品のクオリティが低下した」などの原因があるはずです。

 

また、複雑な原因・要素を排除した主張は、理解しやすく賛同が得られやすいという特徴があります。特に長引く会議や原因が断定できないことについて議論しているときは、参加者が第3の原因・要素を排除したシンプルな主張に引っ張られがちです。しかしその意見は明らかに詭弁であり、正しい内容とはいえません。

詭弁への対処法

さまざまな手法で間違った意見・主張を正しく見せようとする詭弁には、どう対処すればよいのでしょうか?

議論の際相手に詭弁を使われたら冷静に対処ができるよう、詭弁の対処法を知っておきましょう。

 

数や他人の意見を根拠にした詭弁の対処法

「多数派・少数派だから正しい」と主張する数を利用した詭弁には、「数の大小は正しいことの証明になりません」と指摘するのが効果的です。

また、数の大小とよく似ていますが「本に書いてあったから」「上層部が言っていたから」と“他人の意見”を持ち出して正しさの証明とする人も少なくありません。しかし、本に書いてあることがすべて正しいとは限りませんし、正しさの根拠になるとも限らないのです。この場合も数を持ち出して正しさを主張しているときと同様に「本に書いてあるから(上層部が言っていたから)といって正しいことの根拠にはなりません」と伝えましょう。そのうえで相手自身の考えを聞き出せれば、より意味のある議論に発展させることができます。

反語を使った詭弁の対処法

「反語」の詭弁は、“暗に主張をしているが、その主張に疑問を投げかけられないよう疑問形を使ってガードしている”という性質があります。そこで、反語の詭弁を投げかけられた場合は「そのとおりです」と言い返してみましょう。相手が投げかけた疑問文に対しYESと答えることで、相手は「なぜそう思うのか」と問いかけなければいけなくなります。また、こちらから「○○さんはどうお考えですか」と質問し、主張を明言してもらうのも良い方法です。

これらのような対処をすると、相手は議論の場に入って“自分が暗に主張していたこと”について説明せざるを得なくなるので、議論が進むようになるのです。

詭弁を主張する人への対処法

「その意見は詭弁ではないか」というふうに、こちらの発言に間違いが発見できないのにさも指摘しているかのようないい方をされたときは「どうして私の意見を詭弁だとおっしゃるのですか?」と質問し返してみましょう。

詭弁だと指摘するのであれば、相手はどこかに問題点があると考えているはずです。それならば、言葉でしっかりと説明してもらいましょう。もしそこで説明ができないようであれば、その場で「詭弁か、詭弁じゃないか」の議論を終了すればよいのです。

論点をずらしてくる詭弁の対処法

議論の場では「わが社の業績を伸ばすには、社員のスキルアップが必要である」という意見に対し「それよりもスキルに応じた賃金改定に力を入れるべきです」という意見が出るなど、詭弁で論点をずらしてくる人がいます。そのような場合には論点がずれていると感じた時点で指摘をし、本来の論点で議論できるように修正することが重要です。また、そのためには常に論点を把握しながら議論を続けることも必要です。

「今何について話しているのか、もっとも大事な論点は何なのか」をしっかりと意識しましょう。

第3の原因・要素を無視した詭弁の対処法

物事の原因や要素を意図的に無視し、「結果」を「原因」であったかのように見せかける詭弁については、「お互いの因果関係やそもそもの原因がないのか考えること」が重要です。

 

たとえば身近な例でいうと「エアコン暖房の稼働率が高くなると窓に結露ができやすくなる、結露の原因はエアコン暖房だ」という意見があるとします。エアコンが結露の直接の原因かのような意見ですが、これらはどちらも「結果」にすぎません。なぜエアコン暖房の稼働率が上がるのかというと、「冬は気温が下がるから」という要素があるからなのです。

こうした詭弁は一見わかりにくく、納得してしまいがちです。それぞれの因果関係や原因について、多角的に考える癖をつけておくとよいでしょう。

詭弁に惑わされないよう、冷静に考える癖をつけよう

詭弁は一見すると耳なじみがよく、正当性や常識性にあふれた印象を受けます。それを使う人物が地位のある人や実力のある人であればなおさらでしょう。しかし、人の意見がすべて正しいとは限りません。説得力のある意見であっても、まずは「疑う姿勢」で聞いてみると詭弁に気が付きやすくなります。

また、詭弁についての指摘や対処をおこなう際はあくまで冷静に、感情的にならずに対処することを心掛けましょう。

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