仕事において成果を上げるためには、個人の能力だけでなく組織がしっかりと機能することが求められます。従来はトップダウン型の組織運営が主流でしたが、近年ではメンバーが個性と能力を生かしつつ、チームとして高いパフォーマンスを出せる組織の必要性が認識されるようになってきました。そのために必要な「チームビルディング」とはどのような考え方なのかと、効果的にチームビルディングを進めるための方法などについてご説明します。
チームビルディングとは?
「チーム」とは、仕事や競技など同じ目的や目標に向けて協力しあう人の集団のことを言います。同じく集団を意味する言葉に「グループ」がありますが、グループは単純に集団や組、班などを指す言葉で、グループに属する人に共通の目的や目標があるとは限りません。つまり、共通の目標があるかどうかが、チームとグループの違いなのです。
「チームビルディング」とは、文字通り「チームを構築すること」です。仕事においては、同じ業務に取り組む集団は、単なるグループではなく、同じ目標や課題に取り組むチームであるべきだと言えます。チームとしての目標、それを達成するための各メンバーの役割や責任といったものをメンバー全員が共有し、効果的に機能するチームを作り上げるための取り組みがチームビルディングなのです。
チームビルディングの目的、効果
チームビルディングを行う大きな目的は、チームのパフォーマンス向上であると言えます。チームとしての目標とメンバーそれぞれの役割が明確になることで、チームとしての一体感が生まれ、効率の良い業務連携や助け合いが行えるようになります。結果として、個人の能力も最大限に発揮され、チームとしての成果を高めることにつながるのです。
チームビルディングを行うことで得られる効果として、主に以下のようなものが挙げられます。
・チームとしての方向性および規範の共有
・メンバー同士の円滑なコミュニケーションと業務連携
・メンバー個々人の業務パフォーマンスの向上
チームビルディングのステップ
実際にチームビルディングを進めていくにあたっては、米国の心理学者B.W.タックマンが提唱した「タックマンモデル」に当てはめて考えるのがスムーズです。タックマンモデルとは、チーム形成のプロセスを、以下の5段階に分けて捉えるフレームワークです。
1.Forming(形成期)
チームが作られたばかりの時期です。formとは形のことで、チームが形作られる段階だと言えます。形成期のチームは、メンバーがまだお互いのことをよく知らない状態です。チームとしての目標や目的なども明確になっておらず模索していると言えます。
2.Storming(混乱期)
チームが作られてから少し経つと、次第にメンバー間で意見しあえる状態になってきます。本音を出し合うことで、チームとしての目標や目的、チーム内での各自の役割や責任などについて意見の対立や軋轢などが生まれるようになるのです。stormとは嵐のことで、ここではチーム内の混乱を指しています。衝突は避けたいと思われるかもしれませんが、チームがしっかりと機能するようになるために、混乱期は避けて通れない段階なのです。
3.Norming(統一期)
混乱期におけるメンバー間の対立や衝突を経て、チームとしての目標・目的や各自の役割などが共有されるようになります。normとは「標準」「規範」などといった意味で、チームとしてのまとまりや一体感のことを指しています。統一期になるとチームとして安定し、メンバーの能力やモチベーションが高まってくるでしょう。
4.Performing(機能期)
統一期にチームとしての意識や行動規範が確立することを経て、チームの結束力やメンバーの連動性が高まるのが機能期です。performは「実行」を意味し、機能期を迎えたチームは相互にサポートし合いながらチーム一丸となって目標達成のために機能している状態です。
5.Adjourning(散会期)
adjournは散会を意味する言葉。散会期は、チームとしての目標の達成や時間的制約、事態の急変などによってチームが解散となる段階です。タックマンが最初に提唱したモデルはFormingからPerformingまでの4段階でしたが、後に5段階目としてAdjourningの段階が追加されました。
チームビルディングの方法
チームビルディングを進めていくためには、具体的にどのような施策が有効なのでしょうか。主なものをいくつかご紹介します。
ワークショップ
ワークショップとは、“参加・体験型”の学習講座のことを言います。講師の説明を座って聞いているだけの講座とは異なり、実際に参加し体験することで結論を導き出すのが特徴です。チームのメンバーでワークショップを行うことで、各自が意見やアイデアを出し合ってチームとして一つの結論や成果を導き出すというプロセスを実体験できます。
ゲーム
チームのメンバーでゲームをすることもチームビルディングにつながる施策です。ゲームをプレイするにはルールや役割に対する共通認識を持ちつつ、ほかのプレイヤーと交流を行う必要があります。また、遊びの要素が強いため、メンバー同士が打ち解けやすく、互いの性格や特徴を理解しあうことにも役立つはずです。
スポーツ
スポーツもゲームと同様に、ルールや各自の役割分担などについて認識を共有しつつプレイするものです。チームビルディングに役立てるのであれば、個人競技よりもチームでの勝敗を競う競技が向いていると言えるでしょう。スポーツを通じてメンバー同士で連携しあう体験は、仕事において連携しあうイメージを共有することにも役立ちます。
まとめ
チームビルディングとはどのような意味なのか、意味や目的と効果的な進め方などについてご説明しました。
チームビルディングを進めていくにあたっては、チームが現状どういった段階にあるのかを把握し、次の段階へと進行を促すことが必要です。統一のためには対立や衝突を避けるのではなく、上手に乗り越えていく必要があるということを理解しておきましょう。
ワークショップやゲーム、スポーツなどの取り組みを上手に活用して、一丸となって成果を上げられるチーム構築を目指してください。
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