従業員のモチベーションの上げ方は、一人ひとりが挑戦しやすい環境をつくる、成功体験をつませるなどが挙げられます。上げ方を実践する前に、なぜモチベーションが下がってしまうのか理由を把握しておくことがポイントです。
そこで本記事では、モチベーションの上げ方をはじめ、下がってしまう理由や影響、上げるための動機づけをご紹介します。そのほか、モチベーションを上げた成功事例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
モチベーションを上げるための事前知識
モチベーションの上げ方を知る前に、なぜモチベーションが下がってしまうのかを理解しておくとよいでしょう。ここでは、モチベーションを上げるための事前知識として、下がる理由や影響を解説します。
モチベーションが下がる理由
モチベーションを上げる前に、モチベーションが下がる理由を理解しておくことがポイントです。モチベーションが下がる理由は、主に4つあります。
人間関係に疲れているため
会社に勤めていると、人間関係がつきものですが、疲れてしまいモチベーションが下がってしまう場合があるでしょう。人間関係に問題があると、社内のメンバー同士のコミュニケーションに悪影響を与えるので、十分に業務を実行できなくなる可能性があります。
職場の雰囲気が悪くなれば、自分の新たなアイデアや解決方法などを提案しづらくなってしまいます。情報の共有が十分にできていないと、仕事が行き詰まる原因となるでしょう。
また、人間関係が悪い職場は居心地が悪く、仕事への意欲が失せやすいです。仕事に対する意欲や集中力がなくなれば、個人としては十分なキャリアを残せず、企業としては売り上げや顧客の獲得数などの成績が残せないでしょう。
業務への不満が溜まっているため
仕事の業務内容に不満を持っている場合は、モチベーションの低下につながる原因となります。現在行っている業務が、自分が求めていることではない場合や、キャリアにつながるとは思えない場合は、不満がどんどん溜まってしまうでしょう。
毎日同じ業務をこなす仕事は、慣れていくにつれ新鮮味が感じられなくなります。とくに、毎日同じタスクを淡々とこなす業務は、人によっては飽きやすいので、一人ひとりに合った業務を見極めることが大切です。
また、アイデアを提案するものの採用されづらかったり、理不尽な決まりを押し付けられたりすると、モチベーションの低下につながってしまいます。業務自体だけではなく、業務に取り掛かるうえでの周りの対応に不満を感じるケースがあります。
給与が低く待遇が悪いため
業務や実績に対して給与が低い場合は、従業員のモチベーションが下がってしまいやすいです。ほとんどの方が、給与をもらうことを目標に業務をこなしているでしょう。給与が低ければ、転職や離職を検討するきっかけとなります。
また、給与だけではなく、福利厚生などの待遇が悪いことも、モチベーションの低下につながります。交通費は支給されるか、社員しか利用できないサービスはあるか、などのポイントが着目されるでしょう。
そのほか、ただ給与が低いだけではなく、残業代が出ないことも従業員の不満につながります。モチベーションを上げるには、給与や福利厚生などの待遇を見直してみるとよいでしょう。
評価が不公平なため
社内で成果を出したり業務をこなしたりしているのに、会社側からしっかり評価されないと、従業員のモチベーション低下につながります。具体的には、昇進や昇格、昇給などの目に見える形で評価することが大切です。
承認欲求が満たされない状況が続くと、成果を残そうとする意欲が低下してしまい、仕事への意欲低下にもつながります。基準が不明確であったり、納得できない評価をされたりすると、より不満が溜まっていくでしょう。
モチベーションが下がった場合の影響
モチベーションが下がった場合、個人だけではなく、企業としてもさまざまな影響があるといえるでしょう。モチベーションが下がったときの影響は、主に4つ考えられます。
生産性の低下
モチベーションが下がると、仕事に対するやる気や意欲が低下するので、生産性も下がってしまうおそれがあります。生産性が下がることは、企業の業績悪化にもつながるでしょう。
企業の業績が悪化すると、給与やボーナスにも影響するおそれがあり、さらにモチベーションを下げてしまいます。また、生産性が低下することで、通常よりも業務の効率が悪くなってしまうので、残業をしなければいけなくなる可能性があります。
仕事に対する意欲低下
モチベーションの低下は、仕事に対する意欲が下がり、自発的に行動する機会を失ってしまうおそれがあるでしょう。仕事に対する意欲低下は、必要最低限の業務しかしなくなるため、自分から新たなアイデアを提案することが減ってしまいます。
また、自発的に行動しないことで評価が下がると、よりモチベーションが低下し、転職や離職へとつながるおそれがあります。モチベーション低下により責任感も低下しやすいので、仕事でミスしたり、成果を残そうとしなかったりと、さまざまな影響が出るでしょう。
小さなミスでも繰り返すと、業務の品質低下にもつながります。個人のミスが、企業全体のイメージダウンや売り上げ低下などをもたらすおそれがあるので、従業員のモチベーションの向上・維持がポイントとなります。
離職率の増加
モチベーションが下がると、仕事に対する意欲低下により、業務をこなすことが苦痛に感じてしまう場合があるでしょう。結果的に、現在の職場から離れようとする方が増え、離職率が増加するおそれがあります。
離職率が増加すると、人手不足によりさらに生産性を下げてしまいます。新たな人材を雇用するのにも、時間と手間がかかるので、下がった生産性を取り戻すまでに時間がかかると考えられるでしょう。
また、優秀な人材が見つかったとしても、人材育成にコストがかかるので、離職率の減少がコスト削減につながるともいえます。離職したあとは、人材をカバーするだけではなく、モチベーションを向上させるための工夫を行うことも大切です。
チームワークの悪化
モチベーションが下がってしまうと、仕事に対するやる気や意欲が低下し、周囲のメンバーにも悪影響をおよぼすおそれがあります。やる気を失った従業員は、積極性がなくコミュニケーションを疎かにする傾向にあるので、チームワークの悪化につながります。
チームワークが悪化すると、コミュニケーションが十分に取れなくなり、仕事で大きなミスにつながったり、職場の雰囲気が悪くなったりする可能性があるでしょう。ひとりの従業員のモチベーションが低下すると、周囲のメンバーのモチベーション低下にもつながります。
モチベーションを上げるための動機づけと
従業員のモチベーションを上げるには、動機づけが大切です。ここでは、モチベーションを上げるための動機づけについて、内発的動機付けと外発的動機付けの2つに分けて紹介します。
内発的動機付け
内発的動機づけとは、従業員自身の気持ちがきっかけで、モチベーションが向上し行動する動機づけを指します。たとえば、仕事に対して楽しさを感じたり、興味が湧いたりすることは、内発的動機づけとなるでしょう。
内発的動機づけは、外発的動機づけと比べると、長期的なモチベーション向上・維持が期待できます。従業員の気持ちの持ちようが変わらない限り、モチベーションが低下しにくいと考えられます。
外発的動機付け
外発的動機づけとは、会社側からモチベーションを高めるためのきっかけを与えて、仕事に対する意欲を向上させる動機づけのことです。具体的には、ボーナスを支給したり、成績に応じて社内表彰したりすると、外発的動機づけとなります。
外発的動機づけは、短期間でモチベーションを上げたい場合におすすめです。一方で、長期的なモチベーションの向上・維持には向かないので、内発的動機づけと合わせて実行するとよいでしょう。
たとえば、年に2回ボーナスを支給してモチベーションを上げたい場合、ボーナスを支給した直後の仕事に対して意欲が低下するおそれがあります。昇給や昇進も限界があるため、従業員によってモチベーションを維持できる期間が異なります。
モチベーションを上げる方法
従業員のモチベーションを上げたい場合は、事前に上げ方をチェックしておくことで、自社に必要な対策が明確になるでしょう。ここでは、モチベーションの上げ方を10個紹介します。
労働条件を見直す
従業員のモチベーションの低下は、仕事に対して不満を持っていることが関係するケースがあります。そのため、従業員の立場になって労働条件を見直すことがポイントです。
たとえば、給与や待遇などを充実させて、生活に満足できるような環境を整えるとよいでしょう。生理的欲求や安全欲求などを満たせば、離職率の増加を阻止できる可能性があります。
また、労働条件を見直すことは、雇用中の従業員のモチベーションが上がるだけではなく、優秀な人材採用につながるでしょう。労働条件のよい企業は、就職先を探している方にとって魅力に感じます。
給与や賞与として、報奨旅行を取り入れることをおすすめします。報奨旅行とは、成績優秀な人に対しての報酬として企業が企画する旅行のことを指します。こちらの記事では、報奨旅行について解説しています。取り入れるメリットや企業事例も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
人事評価制度を充実させる
人事評価制度は、従業員のモチベーションを上げるために大切なものです。評価基準が明確になっていると、何を目標に行動すればよいのかがはっきりするので、仕事への意欲ややる気の向上につながります。
人事評価制度を充実させる際、昇格や昇給の条件を明確にすることがポイントです。従業員は、昇格や昇給できる可能性があると知ると、自然とモチベーションがアップするでしょう。
また、人事評価をする場合、結果のみに着目するのではなく、成果を出すまでの過程にも目を向けることが大切です。結果はもちろん、努力も評価するという制度を充実させることで、新たなアイデアや解決方法などを提案できる環境づくりができるでしょう。
現場の意見を尊重する
従業員のモチベーションを上げるには、現場のメンバーの意見を尊重することがポイントです。現場で働いている従業員だからこそ提案できるアイデアなどもあるため、積極的に意見を聞き出すのが大切です。
また、現場の意見を聞き出すための環境づくりを行うとよいでしょう。たとえば、1対1で意見を述べられるミーティングを開催したり、現場の意見をまとめた社内報などを公開したりするのがおすすめです。
社内のコミュニケーションを活性化させる
人間関係に疲れている場合、コミュニケーション不足により、モチベーションが下がってしまうケースがあります。そのため、人間関係や職場の雰囲気をよくするためにも、社内のコミュニケーションを活性化させることが大切です。
意見をいい合える環境をつくるためには、一人ひとりがメンバーに対して感謝の気持ちを持つことがポイントです。日頃から感謝の気持ちを伝え合うと、いわれた側は自分自身が貢献できていると感じ、モチベーション向上につながるでしょう。
短期と長期の目標を組み合わせて設定する
目標を設定してモチベーションを上げようとする際、短期と長期で達成できる目標を設定することがポイントです。短期の目標は、達成するまでに期間を要しないので、すぐに達成感を覚えられるでしょう。
長期の目標は、短期の目標よりも達成感が大きいことから、次の目標に向けての意欲向上につながります。長期の目標達成を目指しながら、短期の目標を何度も達成する感覚を覚えることで、モチベーション維持の効果が期待できます。
また、短期と長期の目標設定は、1年単位と3年単位、1か月単位と6か月単位などとバランスが大切です。そのほか、期間ではなく、個人としての目標と、チームでの目標をセットで設定することもおすすめです。
従業員一人ひとりがチャレンジできる環境を作る
自分から行動できる環境を整えるために、従業員一人ひとりがチャレンジできる環境をつくるとよいでしょう。自分で考えて行動することは、責任感を生み出し、モチベーションを高められる可能性があります。
たとえば、従業員が新たなアイデアや解決策などを提案できるイベント・会議を開催するなどです。はじめから意見を引き出そうとすると、プレッシャーに感じてかえってストレスとなってしまうおそれがあります。
そのため、はじめはアイデアの提案経験のある上司が選択肢を提示したり、上司から問いかけを行ったりするとよいでしょう。徐々に自分から行動できるように、サポートすることが大切です。
目標の結果を可視化する
目標を立てるのではなく、どれくらいで目標が達成できるのか、目標達成のために何をすべきか、などのポイントを明確にすることがポイントです。そのためには、目標達成にどれだけ近づけているか進捗状況を明確にするとよいでしょう。
目標の結果を可視化する方法は、達成率や進捗率を数値・グラフ・表などで表す、マップを使って達成までの道のりを表すなどが挙げられます。社内報などで情報を共有すると、社内全体で可視化できモチベーション向上につながるでしょう。
成功体験を積ませる
従業員に成功体験を積ませることで、自己肯定感が生まれ、モチベーションが上がる可能性があります。自己肯定感とともに、さらに成長したいという欲求が高まるので、企業としても売り上げアップや成果にもつながるメリットがあります。
従業員に積ませる成功体験は、大きなものではなく、小さいもので問題ありません。スケジュールどおり業務をこなすなど、小さな成功体験を何度も繰り返して積ませることが大切です。
成功体験を積ませる方法として、アワードを取り入れることをおすすめします。こちらの記事では、アワードについて解説しています。取り入れるメリットや企業事例も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
従業員に声かけをする
従業員のモチベーションを上げるには、一人ひとりのライフスタイルを理解することがポイントです。たとえば、睡眠を十分に取れているか、問題なく食事を摂れているかなど、声かけをして何気ない会話をするとよいでしょう。
睡眠や食事などに不満を持っている場合は、体調を崩してモチベーションが低下するおそれがあります。声がけをして問題があると発覚した際には、モチベーションの低下に発展する前に、対策を打つとよいでしょう。
また、家庭を持っている従業員は、過労により家族とのトラブルに発展する可能性があります。声がけでは、家族との関係性や、家での様子などを聞いてみることもポイントです。
社内に相談窓口を設置する
モチベーションの低下は、人間関係の悪化や業務への不満などさまざまなことが考えられます。仕事に関する悩みを抱えていると、モチベーションの低下につながりやすいので、相談窓口を設置して悩みを取り除くことが大切です。
相談窓口では専門のスタッフを配置することで、相談しやすい環境がつくれるでしょう。業務に直接関わる方が相談担当しても、人によっては相談しづらいと感じてしまうおそれがあります。
モチベーション向上の成功事例
モチベーションを上げることを課題としている場合、まずモチベーション向上の成功事例を参考にするとよいでしょう。ここでは、モチベーションの向上に成功した事例を4つ紹介します。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、クラウドベースの業務改善サービスを提供している企業です。従業員のモチベーションを高めるために、さまざまな働き方の実現に力を入れています。さまざまな働き方の実現のために、積極的に取り組んでいる点が特徴です。
サイボウズ株式会社の「育自分休暇制度」は、最大6年間復帰が認められる制度です。2012年から導入しており、育休で退職した従業員がいつでも戻って来られる制度なので、安心感を持ってキャリアを積めるでしょう。
また、新たな制度の導入や評価制度の見直しを行った結果、離職率が最大28%から3%前後まで下がったことが報告されています。このように、数値として従業員のモチベーションが高まっていることが現れています。
ザ・リッツ・カールトン
ザ・リッツ・カールトンは、世界規模でホテルをチェーン展開している企業です。従業員のモチベーションを上げるために、ファーストクラス・カードという制度を導入しました。
ファーストクラス・カードとは、ほかの従業員に向けて感謝の気持ちを伝えたいときにカードを渡すコミュニケーション法です。仕事を手伝ってもらったときなどに使われるものであり、褒め合うことが習慣化されました。
ファーストクラス・カードの使用は、人事査定の参考資料にもなるので、モチベーションの向上につながりやすいです。日頃から従業員への敬意を示すことを忘れずに仕事ができる環境が整えられるでしょう。
面白法人カヤック
面白法人カヤックは、ゲームアプリや広告・Webサイト制作など、最新テクノロジーとアイデアを掛け合わせたサービスを提供している企業です。モチベーションを上げる対策としては、従業員が楽しんで働ける環境づくりに力を入れています。
たとえば「ぜんいんで報酬を決定」という行事は、従業員同士で投票を行って、ランキングに応じて昇給額が決まる仕組みとなっています。ユニークな行事以外に、福利厚生も充実している点が、モチベーション向上につながったといえるでしょう。
株式会社ユナイテッドアローズ
株式会社ユナイテッドアローズは、衣類や小物などを販売するセレクトショップを運営している企業です。従業員のモチベーションを高めるために、キャリアアップのチャンスを設けたり、自分が希望する部署で働ける制度を整えたりしています。
具体的には、自分の意思によって幅広いキャリアにチャレンジできる社内公募制度、異動のときに配属部署の希望を出せるキャリア自己申告制度などが挙げられます。キャリア形成に力を入れているので、従業員一人ひとりがチャレンジしやすい環境といえるでしょう。
まとめ
従業員のモチベーションを上げるには、現場で働く側の立場になって、労働条件の見直しや人事評価制度の充実などを行うことがポイントです。短期と長期の目標を設定し、小さな成功体験から積ませることも大切です。
また、人間関係や業務内容に不満を持っているケースを懸念し、社内に相談窓口を設置するとよいでしょう。悩みを取り除ける環境づくりが、モチベーションの向上につながります。
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