バーチャル株主総会とは?種類や実施動向を解説

企業の会議やセミナーなどの多くがオンライン化した2020年以降、株主総会においてもオンライン開催の流れが進んでいます。いわゆる「バーチャル株主総会」です。

 

ここではバーチャル株主総会の概要や実施の背景、種類といった情報をご紹介します。昨今のバーチャル株主総会の実施動向についても解説しますので、ぜひご参考にしてみてください。

バーチャル株主総会とは

「バーチャル株主総会」とは、「場所の定めのない株主総会」の通称です。

 

インターネット(およびWeb会議ツール等)を利用して、遠隔地から参加・出席できる株主総会とも言い替えられます。近年では、バーチャル株主総会を開催する企業も少しずつ増えつつあります。

 

バーチャル株主総会では「インターネット環境」とPCやスマホ、タブレットなどの「対応デバイス」さえあれば、場所にかかわらず参加可能です。

 

バーチャル株主総会に参加するには、指定の日時にURLをクリックすれば参加完了となります。入室にはあらかじめ株主専用に発行された専用IDやパスワードが必要になるため、株主以外が入室することはできません。

 

バーチャル株主総会発案の背景

バーチャル株主総会が発案された背景には「株主が遠方に住んでいて“分散化”していること」や「IT技術が発達・活用できる時代になったこと」が挙げられます。

 

株主が遠方に住んでいて“分散化”している

リアル株主総会の場合、遠方に住む株主は時間・場所の制約上、参加機会を逃してしまうことが多々あります。

その中には、会社の活動・経営に興味関心を抱いていても、やむなく参加・出席をしない……というケースもあるのです。

 

また、近年ではネットやアプリを利用してどこからでも株が購入できるといった事情もあり、ますます株主の居住地分散化が進んでいます。

 

オンラインで株主総会に参加・出席ができるようになれば、従来なら参加が難しかった遠方の株式総会にも参加できるようになります。

 

IT技術が発達し、株主総会にも活用できる時代になった

バーチャル株主総会が注目される理由として、ITやネットワーク技術の発達が挙げられます。特に最近は光ファイバーによるネット通信が普及し、5Gによる高速ネット通信サービスもスタートしました。

 

また通信に対応できるデバイスやWeb会議ツールなども普及しており、バーチャル株主総会の開催に必要な環境が揃ってきた、という事情も開催数の増加につながっています。

 

バーチャル株主総会の種類

バーチャル株主総会には「ハイブリッド型」と「バーチャルオンリー型」の2種類があります。またハイブリッド型の中でも「参加型」「出席型」に分かれており、それぞれ異なる特徴を持っています。

 

ハイブリッド型

ハイブリッド型のバーチャル株主総会は「リアル開催とオンライン開催を同時に行う株主総会」のことです。

 

株主は会場に直接足を運ぶほか、インターネットを利用して遠隔地から参加することもできます。

 

ハイブリッド型のバーチャル株主総会を開催する場合、株主の参加方法を「参加型」「出席型」の2種類から選ぶ必要があります。

①参加型

参加型は、インターネットを使って株主総会を「視聴する」方式です。

参加型の場合あくまでも「視聴のみ」が原則となるため、株主総会中に議決権行使(※)はできません。

 

※株主の権利のひとつで、参加した株主総会で会社の経営方針、取締役の選任などの賛否を投票すること。

 

ただし議長の裁量によっては、参加型でもチャットで質問ができる場合もあります。

 

②出席型

出席型は、オンライン参加であっても会社法上の「出席」が認められているハイブリッド株主総会です。

 

株主総会の「出席者」は、先述の「議決権行使」ができます。つまり、一方向のオンライン視聴ではなく、法的にも投票・質問などの行為ができるというわけです。

 

参加型に比べるとより双方向のコミュニケーションが実施しやすい形式だといえるでしょう。

 

バーチャルオンリー型

バーチャル株主総会のもうひとつの開催方法が「バーチャルオンリー型」です。

 

これは出席者が来場できる“リアルの会場”を設けず、インターネット上のみで開催する株主総会です。会社法上の「出席」が可能な株主総会のため、出席者はハイブリッド型の「出席型」と同じく、議決権の行使が可能です。

 

日本では2021年6月16日に「改正産業競争力強化法」が施行され、バーチャルオンリー型株主総会の開催が認められるようになりました。

 

ただし開催には「経済産業大臣・法務大臣の確認を受け、かつ“場所の定めのない株主総会”を開催できる旨を定款に定めた上場企業」などの条件があります。

 

 

バーチャル株主総会の実施動向

バーチャル株主総会の特徴や種類について学んだところで、実際の導入状況について知りたい……という方も多いのではないでしょうか。

 

ここでは、国外と国内におけるバーチャル株主総会の実施動向についてご紹介します。

 

 

国外におけるバーチャル株主総会の実施動向

アメリカ合衆国では、2000年にデラウェア州が「バーチャルオンリー型株主総会の開催を認める」という法律を制定した歴史があります。それ以降は、多くの州の法律でバーチャルオンリー型株主総会の開催が認められています。

 

経済産業省提供の資料「バーチャル株主総会をめぐる海外動向」によれば、アメリカ国内では2017年のバーチャルオンリー型株主総会の開催数が236社にものぼった、というデータがあります。

 

このうち約9割が「バーチャルオンリー型」であり、バーチャルオンリー型の株主総会を開催した会社の9割が“音声のみ”の実施という調査結果が出ています。

 

経済産業省によるコロナ禍以降の開催データはまだ発表されていませんが、予測としてはさらに増えている可能性が高いでしょう。

 

参考リンク:経済産業省|バーチャル株主総会をめぐる海外動向

 

なお、その他のイギリス・カナダ・ニュージーランドといった英語圏の国や、ドイツなどの国でも、バーチャルオンリー型の株主総会の開催が認められています。

 

国内におけるバーチャル株主総会の実施動向

東京証券取引所が発表した「2022年3月期決算会社の定時株主総会の動向について」によると、2022年にバーチャル株主総会の開催を予定していた会社は全体の18.7%(320社)という結果に。

 

そのうちの「ハイブリッド参加型」は17.4%(296社)、ハイブリッド出席型は1.2%(21社)を予定していると回答しています。

 

なおバーチャルオンリー型に至っては、バーチャル株主総会の開催を予定しているうちの0.2%(3社)という結果となり、少数派であることが判明しました。

 

参考リンク:東京証券取引所|2022年3月期決算会社の定時株主総会の動向について

ハイブリッド型の場合、「リアルで出席し、経営者に直接質問や確認、議決権行使をしたい」「オンラインで参加したい」という両方のニーズを満たすことができます。

 

一方バーチャルオンリー型の場合、通信障害による決議の取り消し、総会の再開催などのリスクが生じる可能性もゼロではありません。

また前例の少なさから、開催へ二の足を踏んでいる企業も少なからずあると予測できます。

 

ただしバーチャルオンリー型であっても、事前のリハーサルや環境整備、準備、開催ルールの提示などを工夫すれば、リスクを最小限に抑えることは可能です。

 

さらに株主の投票や質問などに関しても“ブロックチェーン技術”を使ったツールが提供され始めるなど、「議決の安全性」に関してもクリアできる取り組みが進んでいます。

 

参考:アステリア株式会社|ブロックチェーンによる株主投票

 

 

バーチャル株主総会のサポート例

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まとめ

バーチャル株主総会は、参加者・開催側の双方にメリットが得られます。その一方で、参加や出席に関するルールの制定、事前準備、通信障害へのリスク対策など、オンライン開催だからこそ生じる手間もあります。

 

バーチャル株主総会は「正解」ではなく、あくまでも選択肢のひとつとしてとらえておくとよいでしょう。

リアル会場での開催とハイブリッド型、バーチャルオンリー型を比較検討したうえで、最適な開催手段を選んでみましょう。

 

近年、株主総会にも“オンライン化”の波が押し寄せています。本記事ではネット上で開催する「バーチャル株主総会」の概要や開催の背景、種類、実施動向について解説。今後、バーチャル株主総会の開催を検討している企業様は、ご参考にお読みください。

 

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