新入社員研修の内容・作り方・注意点

新入社員へ向けて行う新人研修は、必要な基礎知識を身につけてもらい、活躍できる人材へ成長してもらうための重要な第一歩です。
そこで今回は、新人研修を最大限に有意義なものにする準備のポイントを解説していきます。ぜひご活用ください。

新入社員研修を成功させるポイント

学校を卒業したばかりで、社会人経験がない新入社員。このような社員には覚えてもらいたいことがたくさんあって、つい「知識を詰め込む」研修内容になってしまいがち、という企業も多いのではないでしょうか。

もちろん、ビジネスマナーを学んでもらうことは大切です。しかし、研修終了後にそれぞれの現場で自信を持って働いてもらうためには、ただ知識を教え込むだけのプログラムでは十分ではありません。参加者が研修中に「大きな達成感を得られる」内容にすることが大切です。

そのためには、「何かを共同作業で作り上げる」「チームで1つの目的を完遂させる」といったプログラムも取り入れ、「知識の吸収」と「実践」のバランスの取れた研修にするとよいでしょう。何かをチームで作り上げるプログラムを取り入れれば、新入社員の創造力や団結力を養うことにもつながります。そうした能力は実際に業務に就いたときにも必ず役に立つはずです。

なるべく早く会場を押さえる

大きな達成感を得られる研修を実施するためには、会場選びにも気を配る必要があります。自社のオフィス以外に会場を借りる場合には、なるべく早めにどこにするかを決めて、その会場の広さや設備に合わせてプログラムを構成するとよいでしょう。あるいは先にプログラムの内容が細かく決まっている場合は、それに沿った広さや設備を持つ会場を、時間的な余裕を持って選びたいものです。

日本では、新入社員の入社時期が4月という企業が多く、どこも同じタイミングで研修を行おうとするため、会場を早めに押さえないと予約ができなくなる可能性があります。候補としていた会場を押さえられず、変更を余儀なくされた場合、予定通りのプログラムを行えなくなるかもしれません。そうなれば、研修内容が充実したものにならないケースも出てくるでしょう。中途半端な内容になってしまっては、参加者のモチベーションにも影響します。また、会場が予約できないために研修の日程を変更しなければならなくなった場合は、大きなロスが発生するでしょう。

コスト・時間を割く

これが一番難しい、という人事担当者の方も多いのではないでしょうか。学んでもらいたいことはたくさんある、多くの時間をかけたい、さまざまな研修資料を準備したい……でも、割けるコストや時間は限られている。だからといって、設備の整っていない場所を研修の会場に選んだり、時間を大幅に削ったりしては、効果が得られないばかりか、参加者の不満が募って逆効果になってしまうこともあります。適切なコスト・時間はどのくらいか、今一度検討する価値があるでしょう。

会場を選ぶ際は、備品も細かくチェックしてから、どこにするかを決定しましょう。レンタル料のみに注目して決めてしまうと、後からいろいろな備品を自分たちで準備しなければならなり、結果的に余分なコストがかかった……ということにもなりかねません。また、社員が講師となる場合は、日常の業務との兼任となり忙しくなりますが、教えることで学びがあると考え、研修に十分な時間を割くようにしましょう。

フォローをしっかりと

バランスの取れた研修プログラムを作成するのはなかなか難しいものですが、今回ご紹介したポイントを押さえ、ぜひ研修内容を充実したものにしてください。そして、研修の後には新人さんたちがうまくできなかった部分をしっかりとフォローして、不安なく業務に就けるように導きましょう。全員がそれぞれの現場で活き活きと働けるよう、しっかりサポートしていきたいですね

新人研修準備の基本的な流れ

まずは、新人研修準備の基本的な流れを説明します。

1.研修目的・研修ゴールの明確化

新入社員のレベルや企業の人材育成方針にもとづいて、研修の目的・ゴールを明確化します。例えば新卒採用の場合はビジネスマナーや社会人としての基礎となるスキルを身につけてもらう、中途採用の場合は企業特有の知識や不足している部分を補ってもらうなどです。
新卒採用の社員でも、パソコンスキルや語学力などに差があることは多いので、受講者のレベルを正確に把握し、研修目的・研修ゴールを定めましょう。
経営陣や現場の社員にヒアリングしておくことで、より具体的な目標設定ができます。

2.研修期間の設定

3日間、1週間、1ヵ月、3ヵ月、または半年など、研修期間は企業によって違います。研修目的を達成するためのカリキュラムに合わせて期間を設定できるのが理想ですが、もともと研修にあてられる期間が決まっているケースが多いので、まず必ず期間を確認・設定しましょう。

3.研修会場の確保

自社内で実施する場合は社内での場所調整、そして社外の施設で実施する場合は、その会場の確保が必要です。
様々な内容で構成される新人研修は必要な備品も多いので、椅子や机はもちろん、ホワイトボード・プロジェクター・マイクなどがあらかじめ揃っている社外施設を借りた方がコスト削減につながる可能性もあり、検討はおすすめです。
宿泊をともなう研修を実施する際は、できる限り相部屋ではなく個室を用意し、新入社員がリラックスできる環境を整えましょう。

4.カリキュラムの作成・テキスト選定

研修目的を達成するための具体的なカリキュラムを作成します。新人研修では特に「どの内容をどのタイミングで教えるか」が重要なので、定められた研修期間内におさまるように綿密に計算しながら組み立てていきます。
ただ、研修期間内におさめようとするあまり、詰め込みすぎるのはNGです。研修にメリハリをつけて受講者のモチベーションを継続させるため、気軽なレクリエーションを実施する、社員が教える日と外部講師が担当する日を分ける、座学だけでなくワークも効果的にとり入れるなど、工夫のあるカリキュラムに仕上げましょう。
また、自社で使い続けているテキストがない限りは、テキストの検討も重要です。自社オリジナルではなく市販のテキストを選ぶなら、なるべく薄めをおすすめします。研修期間中に詰め込むのは消化不良になりがちなので、最低限の知識を確実に身につけられる分かりやすいテキストを用意しましょう。会場の選定と同じく、早めの決定が安心です。

5.受講者へ案内

大前提のことではありますが、受講者への案内を確実に行いましょう。事前に伝えるべき最低限の項目としては、「開催日・開催時間・開催場所・大体のカリキュラム内容・筆記用具など持参が必要なもの」が挙げられます。
もしも事前課題や用意してもらいたい資料などがある場合は、その旨も記載して案内を行います。

新入社員に不足する意識の具体例

新入社員の多くは、「仕事は創るもの」「個人の行動が会社にも影響する」という意識が不足します。

まず「仕事は創るもの」という意識について考えましょう。これちらが不足すると、「仕事を待つ」という受け身の態勢になり、自ら考えたり働きかけたりということがなくなります。そして、「言われたことしかできない」状態になってしまうでしょう。

それから、「個人の行動が会社にも影響する」という意識です。最近ではよくニュースで「SNSの不注意な情報拡散で他者や会社に迷惑を掛けた」という話を見かけますが、こうしたことは決して他人ごとではありません。意識が不足することで、いつ何が起こるかわからないものです。また、こうした状況が発生すると、本人だけの問題ではなくなり、同僚や上司、ひいては会社全体や顧客に迷惑をかけることにつながります。

新入社員研修に必ず盛り込みたい内容5選

では、どのような内容を盛り込むとよいのでしょうか。必ず盛り込みたい、5つのポイントをお伝えします。

1.企業理念

企業理念を最初に話しましょう。できればわかりやすく解説したり創業者のエピソードがあったりするとよいですね。新入社員にも理解しやすくなりますし、自分ゴトとしてとらえてもらえます。他には、働く上で大切な就業規則、新入社員がこれから溶け込んでいく部署の紹介などを行いましょう。

2.社会人の基礎となる考え

ビジネスマナーやコンプライアンスなど、社会人の基礎ともいえる考えを伝えましょう。最も基本的なものは「報連相」の意識です。この際、「どうして報連相をするのか」「コンプライアンスは何に必要なのか」といった具体的な話も盛り込みましょう。ただ方法だけを伝えるだけでは、新入社員には理解しづらく、身につかなくなるからです。

3.普段から行うとよい習慣

スケジューリングや目標設定など、普段から行うとよい習慣を共有しましょう。スケジューリングは、慌てず業務を進めるのに重要ですし、目標設定はキャリアアップに役立ちます。

4.業務に関する具体的なスキル

業務を行う上でのPCの使い方や使用するソフトウェアについての説明、また業務に関する知識やスキルの共有をしましょう。しかし、新入社員は、ほとんど何も知らない状態です。あまり詰め込むと、「どれが大切なのか」「どれを覚えておけば良いのか」分からなくなってしまうことがあります。そのため、共有するのは、最重要事項や基礎的なことにとどめるとよいでしょう。

5.新入社員同士のコミュニケーション

新入社員がお互いに自己紹介をしたり雑談をしたりする場を設けましょう。これから一緒に働く間柄ですから、できるだけ早く打ち解けることが望ましいです。もちろん、上司もその場にいるとよいですね。上司にとっても、どの社員がどんなタイプか、早くわかりますので、今後のコミュニケーションにつながります。

必ず行いたい!次につなげる課題やテスト

研修だけで終わらせず、次につながる課題やテストの実施も考えましょう。

その場で行う場合
テストを行う場合、紙に回答するものではなく、挙手で答える方法を選ぶとよいでしょう。なぜなら、積極性を高めることにつながるからです。また、自らの口で話すため、思考力やプレゼン力の練習にもなります。

後で提出してもらう場合
その際、普段の業務量や新入社員の消化能力に影響しない程度の量にしましょう。「1年後や3年後の自分に手紙」などもよいですね。先のイメージを具体的に想像しますので、現在のモチベーションや行動にもよい影響をもたらします。

研修内容は共通と職種別で分ける!

研修内容は大きく2つに分けて組み立てます。
まず、「入社にあたって誰しも必ず身につけてもらいたい共通内容」、そして次に、「専門性の高い職種別の内容」です。具体的にピックアップして説明します。

共通:企業理念・ビジョン

モチベーションを高めて活躍してもらうには、自社への理解が必要不可欠。企業の理念やビジョンをしっかりと伝えることで、早期離職の防止にもつながります。企業の根幹の内容なので、座学形式で経営陣から伝えた方が説得力もあり効果的です。

共通:チームワーク

自身の意見を分かりやすく伝える発信力、相手の話を受けとめる傾聴力、意見の違いを理解して対応する柔軟性など、業務をスムーズに進めるためのチームワークの重要性を認識してもらいます。受講生自らが積極的に動いて体感するグループワークやディスカッション形式がおすすめです。

職種別の内容については人事部から各部署に担当を移し、現場の第一線で働くメンバーから研修を行うケースが大半です。

研修準備の万全チェックリストを!

様々な内容で構成される新人研修は、必要な備品なども多いので、チェックリストを作成して準備していきましょう。
研修日時・研修場所・講師名を記載し、それぞれの時間に必要な備品(テキスト・名札・プロジェクター・ホワイトボード・パソコン等)とその数量を記入していきます。机や椅子の数とレイアウトも書き込んでおくと分かりやすいです。

さらに、研修を外部に委託する場合や、社外の施設を借りて行う場合は、自社・委託先・研修施設で用意するものを明確に分けて記載しておきましょう。ひとつにまとめたチェックリストを関係者で共有することで、“○○さんが用意していると思い込んでいた事態”を防ぐことができます。

念入りチェック!忘れがち3点

「つい忘れがちだけれど意外と重要な3点」をご紹介!チェックリストへの反映をおすすめします。

名刺
まずは「名刺」です。ビジネスマナー研修をする際は、実際に名刺交換の練習をした方が身につきやすいので、名刺は事前に印刷し名刺入れだけ受講者に持参させる、または仮の名刺入れを用意しておきましょう。

ホワイトボードマジック
そして次に「ホワイトボードのマジック」です。社外の施設を借りて実施する場合は、備品として用意されていることが一般的なので安心できますが、社内の場合は意外と揃っていないことがあります。たとえ揃っていてもインク不足で薄くなっている可能性もあるため、チェックが必要です。

アンケート
3点目は「アンケート」です。1日の終わりや研修期間が終わるときなど、どこかのタイミングで受講者に記入してもらうアンケートの作成をおすすめします。アンケートをとることで受講者の生の声を反映でき、新人研修の質を高めていけます。

人材育成を成功に導く研修準備を!

質の高い新人研修は、活躍できる人材の育成に直結し、新入社員のモチベーションアップや定着率の向上にもつながります。チェックリストなども活用しながら、効果的・効率的な新人研修の実現を目指しましょう。

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