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効果的で承認されやすい研修計画づくり

研修の効果を高める研修計画はどのように立てていくべきか。今回は、考える要素が非常に多く、研修担当者を悩ませる「研修計画づくり」に着目して解説していきます。質の高い計画を目指すのはもちろん、その計画を実施するために“承認されやすさ”を意識しておくことも必要です。それでは早速、解説していきます。

STEP1.まずは研修の目的を明確化

研修計画を立てるにあたり、まずは「研修の目的の明確化」が必要です。
何となく認識しているような感覚で、意外に漠然としがちな研修目的ですが、「人材育成の方針」を定めることで自ずと明らかになっていきます。
「人材育成の方針」は、「求められる人材像」を設定し、そこから導き出します。
求められる人材像に対しての現状のギャップ、そしてそのギャップを埋めるために何が必要なのか。その答えを探るうち、人材育成の方針が定まり、研修の目的も鮮明になっていきます。

求められる人材像が見えてくる3つの材料

自社に求められる人材像は、経営の方向性(経営理念・ビジョン・行動指針)、現状の課題、人事評価制度を調べた上で設定することをおすすめします。
研修担当者が感覚的に思い描く理想の人材像よりも、きちんと調べた客観的な材料をもとに研修計画を立てる方が説得力があり、承認も得やすくなります。
経営の方向性については、長期的な経営の進め方を理解するために、中長期経営計画も確認しておきましょう。

現状の課題は、顧客満足度や従業員満足度の調査結果があれば理想的ですが、調査がされていない場合は、社員へのヒアリングなどを通して課題を探っていきます。
人事評価制度の中では、特に昇格要件や能力評価に関する項目に着目します。それこそが、会社が求めている人材像に直結しているからです。

STEP2.研修予算の確保

研修の目的を明確にした後は、研修予算の確保に取りかかりましょう。
会社の事業計画や前年度の研修費用などを参考に、今年度の予算を決定します。

STEP3.具体的な研修内容を設定

研修の目的を定め、予算の確保ができたところで、いよいよ具体的な研修内容の設定に入ります。
その際に作成しておきたい資料が5種あります。
まずは、どのような研修を誰が受講するのかが集約された「全体計画一覧表」、そして、研修ごとの学習ポイントやスケジュールが把握できる「個別概要表」です。研修予算の範囲内で実施可能なものをピックアップして仕上げていきます。そこからさらに、「今期の研修スケジュール」、3〜5年スパンの「中期研修スケジュール」も作成し、最後は「研修予算表」で完了。研修予算表には、今期の各研修の必要経費に加え、来期以降の毎年の概算費用も算出しておきます。

重複やモレに注意!4分類で整理がおすすめ

研修内容を設定する段階で特に気をつけたいのが「内容の重複・モレ」です。
“前回受けた研修と今回の研修の内容がほぼ同じ”“何度も受けている研修と全く受けたことのない研修内容がある”というような事態は絶対に避けたいところ。特に研修の実施を研修会社に依頼する場合は、研修内容の提案待ちが多くなるので、最低限必要な学習ポイントを事前にしっかりと伝えておきましょう。
「重複・モレ」を防ぐためにも、5つの中の「個別概要表」を正確に作成し、活用していくことをおすすめします。

研修の内容を「思考スキル系(論理的な思考法など)」「対人スキル系(マナーやプレゼンスキルなど)」「専門知識系(営業知識、管理職知識など)」「マインド系(リーダーシップなど)」の4つに分類し、学習ポイントを整理していくと、重複やモレのないスマートな研修計画につながります。

新人研修の場合は内定者ヒアリングも大切

新入社員を対象とした「新人研修」を計画に入れる際、受講者(内定者)の現状を把握しておくことも大切です。ビジネスマナーや業務知識などは基礎から教える必要がありますが、パソコンスキルや語学力については、入社前から個人差が大きいので、きちんと事前にヒアリングして内容を決めていきましょう。

承認されやすさも重要ポイント!

研修計画をしっかりと練り上げ、資料もすべて完成。あとは承認を得るだけなのですが、この“承認を得る”という段階にも注意が必要です。
研修計画の説明をした際によく発生するのが、「色々とありすぎるから、もう少し絞った方がいいのではないか」というケース。また、「これは絞りすぎじゃないか」というケースもよくあります。そのような状況に陥ると、また練り直しな上に、どうすればよいか分からなくなっていく可能性も高いので、あらかじめ承認されやすさを意識して計画立案することも非常に重要です。
そこで、「承認されやすさ」のための5つのポイントをご紹介します。

1.キーマンの視点で説明

承認権限のあるキーマンが、どのようなことに関心をもち、どんな視点で判断するのかを把握した上で説明を行います。
たとえば営業系の場合は「この研修で営業力が上がるのか、売上アップにつながるのか」という視点、財務系の場合は「そんなに予算を費やして大丈夫なのか、予算を増やす価値はあるのか」といった視点です。
研修担当者の考えを一方的に伝えるのではなく、キーマンの関心事を意識しながら説明を展開していくように意識しましょう。

2.理想と課題の両方に配慮した説明

会社のビジョンをもとにした説明は説得力がありますが、「理想はそうだけれども、現状の課題は・・・」といった反論を受けがちです。そこでその対策として、「会社のビジョンとあるべき理想の人材像は○○○だが、現状では○○○の部分が弱いことが分かっているので、今回は○○○な内容で研修を企画した」というように、「理想(ビジョン)」と「現状の課題」どちらも把握して考えていることが分かる伝え方をおすすめします。

3.計画8割の段階で事前に相談

研修計画が8割ほどできた段階で、事前に相談しておくのも有効な方法です。そして、そこでもらった指摘やアドバイスを反映した内容で完成させれば、承認を得やすくなります。もしも事前に相談できる環境の場合は、いきなりすべてを説明するよりも承認の可能性が大きく高まるのでおすすめです。

4.段階で分けて承認を得ながら進行

承認を段階で分けるという方法もあります。例えば、最初は「人材育成の方針」の部分だけ承認をもらい、同時に具体的な研修内容についての意見もヒアリング。そして次の2段階目でその意見を反映した「研修内容」を説明して承認を得る、というようなイメージです。

5.お試しを提案

最後は、「お試し」の提案です。研修計画は一度実施してみることで分かることもあり、改善できることも出てくるので、「とりあえず今年度はお試しで始めてみませんか」といった提案方法で承認を得られる可能性もあります。

効果測定も計画の中へ

研修計画の中には、「効果測定」も必ず入れておきましょう。効果を測定する指標としては、受講者へのアンケートや筆記・実技テストが一般的です。
例えば研修アンケートを計画に入れる場合は、少なくとも「研修中」「終了直後」「一定期間後」の3段階で設定します。

「研修中」のアンケートは受講者の満足度を確認する目的、「終了直後」は学んだことが仕事に役立ちそうかなどを確認して研修プログラムのブラッシュアップにつなげる目的、そして「一定期間後」は、行動変容度・成果達成度を測定し、日々の業務の中で活かせているかを確認する目的がメインです。

明確な研修効果は、明確な研修計画から!

研修計画を立てるには把握しなければならない要素が数多くあり、時間も労力もかかりますが、ひとつずつ段階を経て整理しながら取り組めば、人材と企業の成長に大きく役立つ計画ができあがります。
周囲からの納得・承認も得て、効果的な研修へ取り組んでいきましょう!

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