BCP(事業継続計画)とは?策定・作成のメリットや手順・注意点を紹介

日本はもともと台風や地震といった自然災害の多い国として知られていますが、近年では特に甚大といえる大規模災害が頻繁に起こっており、万一のときに企業が大きな被害を受けることが懸念されています。また、現代においては火災や事件、システム障害、テロなどの人為的な危機により事業が立ち行かなくなるケースも多く、看過できません。

企業がこういった緊急事態に対処するためには、普段から十分な対策をしておくことが肝心です。

万一の事態に備えて事業を継続させるためには、BCPを策定することが効果的といえます。実際、内閣府が2005年に公表した「事業継続ガイドライン」でも、BCP策定が強く推奨されています。

ここでは企業がおさえておきたいBCP策定の手順についてご紹介いたします。また、BCPを策定するメリットや、効果的に機能させるためのポイントについてもお話しいたしますので、ぜひ実践してみてください。

BCP(事業継続計画)とは?

BCPとはBusiness Continuity Planningの頭文字を取ったもので、直訳すればビジネスを継続させるための方法や案といった意味合いになります。BCPは災害や事件、テロなどの緊急事態が起きたときに、企業や団体の資産や業務への被害を最大限に食い止めるための方法をまとめた事業継続計画を意味します。

BCPと似た考え方に防災計画がありますが、防災計画とは被害を可能な限り防ぐことに重点を置いています。これに対してBCPは、被害が起きたあとのスムーズな復旧を目指すことを目的としています。

万一のときに事業を継続させ、早い段階で復旧を実現させることができれば、企業が負うダメージを最小限に食い止められます。さらに、顧客や取引先からの信用を維持でき、株式市場からも高評価を得るためにもBCPの策定は必要不可欠なのです。

企業がBCPを策定する目的

日本国内ではたびたび地震や台風といった自然災害が起き、多くの企業が事業を継続できないほどのダメージを受けています。また、火災やテロ事件をはじめとした人的な脅威も見過ごすことができません。

日本には数多くの中小企業がありますが、これらの緊急事態が起きてしまうと中小企業の多くは即座に廃業のリスクに晒されてしまうものです。あらゆるリスクに備え、事業を継続させることを念頭に企業の体制を構築していくことが、BCPの意義といえます。

たとえば東日本大震災では、多くの企業が倒産や事業の縮小などに追い込まれました。中には、被災した企業の倒産や規模縮小によって得意先がなくなり間接的に倒産してしまったという企業のほか、自粛のあおりを受けて規模を縮小せざるをえなかったという企業も少なくありませんでした。

災害や人為的な驚異をはじめとしたあらゆるアクシデントを「十分に有り得ること」と考えてリスク対策することが、事業を継続させるための重要なポイントなのです。

BCPの策定を推進する理由やその背景について

NTTデータ経営研究所の調査によると、既にBCPを策定している企業は43.5%、策定途中の企業を含めれば割合は64.9%となっています。

とはいえ、現在BCPを策定している企業はほとんどが大企業で、中小企業の策定率は依然として低いのが現状です。中には「BCPは大企業が作成するもので中小企業には必要ないもの」と考えている経営者もいるかもしれません。

しかし、実際にアクシデントに遭遇したときには中小企業ほどそのあおりを受けやすいため、中小企業にこそBCPの策定が必要となります。

大企業のほとんどは従業員を統制し、社会的な責任を果たす必要があることからBCPを策定するケースが多いものです。これに対して中小企業の場合には、限られた資本を守らなくてはならないという責任があります。万一の際に早期に復旧し事業を立て直すために、あらゆるリスクに備える高い意識が求められるのです。

企業がBCPを策定するメリットとは

企業がBCPを策定することには数多くのメリットがあります。まずはBCP策定のメリットについてチェックしていきましょう。

1. 緊急事態に対して最適な対処ができる

BCPを策定するそもそもの目的は、万一の際の被害をできるだけ抑えるという点にあります。不測の事態に即座に対処できるというのは、BCPを策定する最大のメリットといえるでしょう。

BCP策定によって万一のときに事業が早期に復旧できれば、経営上のダメージを最小限に留めることが可能となります。速やかに事業を再開できれば顧客が流出するリスクにも対処できます。事業をストップさせる期間を限りなく短くし、市場における自社のシェアを維持できることが、BCPを策定しておくべき大きな理由なのです。

2. 企業の業務内容や強みが可視化できる

BCPを策定するときには、どの事業を優先的に守るかを決定していく必要があります。止まってしまうと致命的なダメージを受ける業務は優先して復旧させる必要があるため、十分に対策しておきたいものです。

企業の優先順を洗い出す作業によって自社の重要業務や強みを可視化できれば、今後の経営戦略を考える上でもプラスになるものです。BCP策定をきっかけに業務の見直しやリスクヘッジ対策を進めていくのもおすすめです。

3. 顧客や取引先からの信頼性が向上する

緊急事態が起きたときの対策が整っているというのは、顧客や取引先に対して安心感を与えることにもつながります。BCPを策定していれば、万一の際に事業が継続しやすくなるため、顧客や取引先が自社から離れてしまうのを防ぎやすくなるのです。

近年では、BCPを策定していることを取引先の選定基準として挙げる企業も増加しています。リスクマネジメントが実践できているというのは、企業評価の向上に直結するのです。

4. 従業員の意識向上が見込める

不測の事態が起きてから対処しようとしてもなかなかうまくいきません。それどころか、緊急事態下でそれぞれの従業員がばらばらに行動してしまうと二次被害が起きてしまう可能性も考えられます。

緊急事態下においては、それぞれの従業員が最善な方法を把握した上でフレキシブルに行動する必要があります。事前にBCPを策定して全社員に最善の方法を共有しておけば、最適な対処をしやすくなります。従業員に万一の際の動き方を意識させることができるのも、BCP策定のメリットです。

5. 従業員の安全を守ることにつながる

企業には従業員に対する安全配慮義務があります。すべての従業員が安全かつ健やかに働けるよう配慮することは会社の義務なのです。

BCPには、大規模災害が起きたときに従業員をどのように守るかといった項目も盛り込む必要があります。もちろん安全性の確保だけでなく、今後安定的に業務を継続してすべての従業員に仕事の場を確保することも重要なポイントです。BCPを策定することは、企業の社会的な責任を守ることでもあるのです。

BCP策定にはデメリットもある

企業のBCP策定にはデメリットもあるので、策定時には十分注意をして計画を進めていくことが肝心です。ここからは、BCPを策定するときに気をつけたいポイントについてご紹介いたします。

1. 想定外の事態が起こる可能性がある

新聞紙上やネットニュースをチェックしていると、ときに予想もできないようなショッキングなニュースに遭遇することもあるものです。実際、大きな災害や事件が起きたときにBCPがうまく機能しなかったというケースも起きています。NTTデータ経営研究所の調査でも、西日本豪雨や北海道胆振東部地震の際にBCPが適切に機能した企業は3割程度にとどまったといいます。

どれだけ前もってアクシデントを想定して対処法を考えていても、あらゆる事態を想定するというのはなかなか難しいものです。

2. 自社に合うBCPでなければ意味がない

BCPは緊急事態を仮定しながら策定していくものですが、平常時に緊急事態を予測するというのはなかなか難しいものです。BCPを策定したものの、内容を見ると企業の性質に合っておらず、実際には達成できないようなものになっているケースもあります。また、緊急事態下におけるリスクを十分に検証できておらず、簡素なBCPしか策定できないということもあるものです。

実効性の低いBCPではいざというときに活用できないため、十分に検証を重ねて最適なものを作っておくことが肝心です。

3. BCP策定にはコストがかかる

BCP策定には一定のコストや時間がかかるという点も押さえておきたいものです。BCP策定の担当者の人件費や専門家へのコンサルティング費用のほか、すべての社員にBCPの内容を共有し、緊急事態が起きたときに対応できるよう教育するためのコストも必要となります。

しかし、BCP策定は万一の際の被害を軽減するためのものであり、直接的には利益を生みません。そのため中小企業にとっては、策定にかけるコストを確保することが課題となります。即座に利益を生まないからと後回しにせず、リスク回避のために十分な手立てを講じておくことが肝心です。

BCPを策定する流れについてステップごとに紹介

ここからは、実際にBCPを策定するときの具体的な手順についてお話しいたします。効率よくBCPを策定するためにも、段階を踏んで丁寧に策定していくようにしましょう。

1. BCPを策定する目的を共有する

まずはBCPの意味や目的について社内で共有することが重要です。企業が何を目指すのかの理念や基本方針を振り返って確認し、方針を決定していきたいものです。

BCPは単なる防災対策ではなく、事業を継続することに重点を置いて行動指針を決定することに意義があります。事業を途切れさせずに継続させられるよう、また一時的に途切れた場合でも可及的速やかに復旧させられるように計画を立てておくことが、企業価値の維持や信頼性の向上につながります。

この意識を策定者全体で共有し、ブレのないBCP策定を目指しましょう。

2. 事業の優先順位を洗い出す

緊急事態下でどの事業を優先的に守るべきか、企業にとって最も大事な業務がどれであるのかを明らかにしていきましょう。企業の存続を左右するか、財政面やステークホルダーに影響するか、社会的要求や会社の将来に影響するかなどの観点から、総合的に事業の優先順位を判断していきます。

BCPにおいては、事業を継続するために最も優先すべき事業を中核事業と呼びます。中核事業を軸にBCPを策定していくのが、緊急事態下でBCPを機能させるためのポイントです。

3. リスクを洗い出していく

企業にとって起きたら困ることを洗い出していく作業も必要となります。どのようなリスクが想定されるのか、災害や事件によってどういった不具合が起きるのかを具体的に言語化しておけば、対策や対処法を提案しやすくなります。

台風や地震、火災のほか、大雨洪水や地盤沈下、事件や事故、伝染病の流行、システム障害やサイバー攻撃、テロなど、企業は常にさまざまなリスクに晒されています。ご紹介したようなリスクを想定し、それぞれのアクシデントに対して有効となる対策を考えていきましょう。

4. リスクに優先順位をつけていく

どんなリスクが起きる可能性があるのかを洗い出したら、リスクに優先順位をつけていきましょう。あらゆるリスクを想定するとBCP策定に膨大な時間がかかってしまうため、災害やトラブルの発生をシミュレーションし、優先度の高いリスクに絞ってBCPを策定していきます。

たとえばそのリスクがどれくらいの頻度で発生するのか、実際に起きたときにどれだけの損失が発生するのかといった観点から考えると、リスク管理がうまくいきやすくなります。

5. 緊急事態に対する具体的な対策を決める

続いて、万一の際にどんな行動をするのかを具体的に決めていきましょう。

緊急事態下の対策は、災害発生時の被害状況の確認、代替手段の決定や応急処置、復旧作業といった3つの段階に分けると考えやすくなります。誰が指揮をとるのか、その人の指示を受けた人がそれぞれどう行動するのかなど、細かいところまで具体的にシミュレーションして決めておきましょう。

ただし、理想論のみでいざというときに実現が難しいBCPを策定すると、緊急事態下でうまく機能しないので十分注意したいものです。

6. 決定した情報をまとめ、共有する

BCPに関連する情報は分かりやすく整理し、文書としてまとめておきましょう。まとめたBCPは社内で共有し、すべての社員に共有しておくことが大切です。

社員に向けてBCP教育の機会を設けたり、アクシデントを想定してBCPの訓練をしたりしておけば、BCPの実効性がより高まります。勉強会だけでなく、応急救護法講習や防災セミナー、移動訓練、データバックアップ訓練などさまざまな対処をして万一に備えましょう。

7. BCPの内容を必要に応じて見直す

BCPは策定すればそれで終わりというわけではありません。BCPを策定したまま放置していては、いざというときに機能せずに終わってしまうこともあります。繰り返し内容をチェックしたり一定期間ごとに社員に共有し直したりと、いざというときに役立てられるようにしておきましょう。

また、社内の体制が変わったときや中核事業を変更したとき、社内のメンバーに変動があったときなどには適宜BCPを見直すことも大切です。

おそらく最初から完璧なBCPを作成できるということはありません。少しずつ改訂を加え、あらゆるリスクに備えられる計画を作っていきましょう。

記事まとめ

BCPは、緊急事態が起きたときに企業のビジネスを守ってくれる砦のような存在です。万が一のことが起きたときに対処法が共有されていなければ、焦りからさらなる被害が引き起こされる可能性があるので、必ず対処法を考えておきたいものです。

CPは、緊急事態下で社員一人ひとりに自身の役割を意識させる効果をもちます。あらかじめBCPを策定しておくことで、万一の事態が起きてもすべての社員が冷静に対処できるようになるのです。

自社のビジネスの内容を十分に把握し、中核事業を守ることを軸に実効性の高いBCPを策定していきましょう。策定したBCPの内容は継続的に見直し、ときには専門のコンサルタントに相談するなどして、いざというとき役立てられるようこまめに共有しておくことも肝心です。

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